認知症の判定Judgment of Dementia
認知症とは(認知症の判定)
認知症とは、脳の病変が原因となって、記憶を中心とした様々の脳の機能が低下して、徐々に日常生活がうまく送れなくなった状態です。認知症にはアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症など、いくつかのタイプがあります。
当院では、認知症をより正確に判定するために、神経心理検査を行っています。神経心理検査は、質問、絵や図を見る・描くなどの、様々な課題で構成されています。
当院で行っている神経心理学検査の紹介
- MMS-E(Mini Mental State-examination)
- 認知機能を簡易に評価する検査です。
- ADAS(Alzheimer’s Disease Assessment Scale)
- アルツハイマー型認知症の認知機能の障害の程度を調べる検査です。
- ウェクスラー記憶検査論理的記憶
- 短期記憶能力を調べる検査です。
- FAB(Frontal Assessment Battery)
- 前頭葉の機能を簡易評価する検査です。
- CDR(Clinical Dementia Rating)
- 生活上の障害を見る尺度です。
検査によっては、ご家族の方にお聞きして評価する検査もあります。
ご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。
神経心理学検査でわかること
- 注意能力
- 注意能力が低下すると、集中できない、ぼんやりしている、落ち着きがない、などの様子が見られることがあります。注意能力は、情報の取り入れに大きく関わるので、注意能力の低下は記憶やその他の認知機能にも大きな影響を与えます。
- 記憶能力
- 記憶能力の低下がいわゆる「もの忘れ」です。記憶能力の低下は、日常生活では、さっき言われたこともすぐ忘れる、ある出来事そのものがすっぽり抜け落ちている、物の置き場所を忘れる、何度も同じことを繰り返し聞く、といった形で見られることがあります。
- 構成能力
- 構成能力の低下は、積み木で作ってある形をまねしたり、図形を描き写したりといったことがうまくできなくなるといった形で現れます。これは、服の向きがわかりにくくなったり、道に迷ったりすることの一因となります。
- 前頭葉機能
- 前頭葉機能が低下すると、性格が変わったり、行動に落ち着きがなくなったり、無関心になったりします。また、複雑な行動を、計画を立てて実行したり、状況を見ながら臨機応変に対応したり、物事を抽象化して考えたりすることが難しくなります。
- 生活上の障害
- 以前に比べて、うまく日常生活が送れなくなり、困っている、ということが重要なポイントとなってきます。一人でうまく服を着ることができない、お風呂に入ったり体を洗ったりするのに手伝いがいる、などは明らかに生活上の障害ですが、他にも、家計の管理ができない、食事に客を招く段取りができないなどの問題も、以前に比べてうまく日常生活が送れなくなっていると考えられるので、生活上の障害と言えます。
当院では、以上の点について慎重に判定を行い、診断や治療に生かしています。
最近こんなことありませんか?
主なサイン
- 何度も同じことを言ったり、聞いたりする
- テレビのリモコンを他の物と間違える
- 今まで段取り良くできていた作業(仕事)に時間がかかる
- 日付や曜日、季節、時間の流れが分からない
- 自分のいる場所がどこだか分からなくなった
- 家族との会話についてこれない
- 置き忘れやしまい忘れが目立つ
- ATMでお金がおろせない
- 病院からもらった薬の管理ができなくなった
- 外に出たがらない
- ささいなことで怒りっぽくなった