整形外科
日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)に関するお知らせ
病気・疾病の治療成績に対する評価は、一つの病院だけでなく、多くの施設が連携して(海外の病院も含めて)行われたり、一つの国レベルでデータを解析したりすることが増えてきています。公益社団法人日本整形外科学会では、運動器疾患に対する手術治療に関する日本全体のエビデンス構築を目的に大規模運動器疾患登録システムであるJapanese Orthopaedic Association National Registry (JOANR)を2020年4月より開始しました。JOANRに登録された情報を分析することにより医療の質の向上を図り、良質な医療の提供、適正な医療レベルの維持、また医療経済の最適化を目指します。
当院も初年度より参加しており、整形外科で手術を行った患者さんの診療情報を登録し、上記目標に協力しています。この登録においては、個人の情報を守るため情報は匿名化され登録されます。この登録に伴う患者さんの新たな金銭負担はありません。
データの登録について承諾いただけない場合は、担当医師か当院医事課に申し出てください。その場合でも診療に不利益を被ることはありません。なお、データ登録削除の申し出が、既に解析を開始又は結果公表等の後となり、措置を講じることが困難なこともございます。
詳しい内容はJOANR専用ホームページを参照ください。ご協力どうぞよろしくお願い申し上げます。
整形外科を受診される方へ
予約の方法
初診予約
地域の医療機関(かかりつけ医)に紹介状を書いていただき、その医療機関を通じて当院地域医療連携室へFAXで診察予約を依頼して下さい。
※紹介状をお持ちでも、当院の診察予約がない場合は、原則後日の診察予約となります。
再診予約
当院での治療が継続して必要な方には次回の診察予約をしています。
次回予約が入っていない患者さんが診察を希望される場合は、初診同様の手続きが必要です。
予約のない方の受診について
毎週金曜日午前のみ、先着での対応。ただし休日・年末年始等は除く。それ以外でも都合により実施していないことがありますのでお問い合わせください。
整形外科は予約制をとっていますが、毎週金曜日に限り受診予約がない方についても診察させていただいております。
来院された際に当日の予約いたします。(受付時間:午前8時45分~11時30分まで)
以下の点をご了承のうえ、来院ください。
- 電話では診察の受け付けはできません。病院窓口受付順となります。
- 医師の指名はできません。
- 当日予約いたしますが、既に予約がある方が優先されますので、予約時間がずれ込み、お待ちいただくことがあります。
- 大変混み合っている場合等、診察が翌週になる場合があります。その場合、翌週以降の予約を取らせていただきます。
- 初診の方で紹介状をお持ちでない場合、初診料に別途加算(2,600円)させていただきます。
令和6年3月1日より、下記の金額へ変更し徴収させていただきます。ご理解とご協力をお願いいたします。
初診時の選定療養費(紹介状なしの場合)
令和6年2月29日まで | 令和6年3月1日から | |
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医科 | 2,600円(税込) | 7,000円(税込) |
再診時の選定療養費(他の医療機関を紹介済みの場合)
令和6年2月29日まで | 令和6年3月1日から | |
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医科 | なし | 3,000円(税込) |
なお、ご不明な点は、当院医事課へお問い合わせください。
スタッフ紹介
氏名 | 役職 | 卒業年次 | 専門医資格など | 専門領域 |
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高橋 光彦 |
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平成5年 |
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北川 篤 |
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平成7年 |
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島 直子 |
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平成11年 |
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荒木 大輔 |
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平成15年 |
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戸田 光紀 |
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平成17年 |
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大島 隆司 |
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平成18年 |
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羽田 勝彦 |
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平成20年 |
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山下 貴大 |
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平成23年 |
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渡邉 秀 |
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平成25年 |
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下薗 涼太 |
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平成30年 |
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黒川 昌悟 |
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平成30年 |
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川﨑 一旭 |
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令和3年 |
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金澤 慎一郎 【非常勤】 |
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平成元年 |
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宮本 智弘 【非常勤】 |
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令和3年 |
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整形外科診療の紹介
整形外科は頭部以外の骨・関節・筋肉など運動器の疼痛・機能障害などを治療対象としています。その守備範囲は広く、スポーツ傷害、リウマチ性疾患や変形性関節症などの関節疾患、腰椎・頸椎など脊椎の疼痛や機能障害、骨折・脱臼や腱・靱帯損傷などの外傷性疾患、骨粗鬆症などの代謝性疾患、小児整形外科、微細な構造を理解して対応しなければならない手の外科・足の外科、切断と義肢・装具、脊髄損傷など多方面にわたっています。当院は特に整形外科手術には関係が深いリハビリテーションでの優位性をいかしつつ、整形外科各分野の専門家をそろえて診療にあたっています。
当院の整形外科の特徴
2021年より、スポーツ医学診療センターが開設されました。プロアスリート・パラアスリートからスポーツ愛好家までを対象に、スポーツ外傷や障害に対して、診断・治療からスポーツ復帰まで含めて対応できる施設です。整形外科とスタッフや病棟を共有しながら保存的治療・手術的治療を行います(詳しくはスポーツ医学診療センターのホームページをご覧ください)。その他にも、変形性股関節症・膝関節症などに対する人工関節置換術(詳しくは人工関節センターのページのページをご覧ください)、関節リウマチの患者さんに対する四肢関節形成手術、脊椎疾患に対する手術など主として手がけております。
上記手術的治療は当院3階の一般病棟にて行っており、手術後の状態が落ちつけば、リハビリテーション専用の病棟に移動して早期スポーツ復帰、社会復帰、日常生活復帰を目標に訓練を続けます。また脊髄損傷の患者さんに対するリハビリテーションや、上肢・下肢の切断患者さんに対するリハビリテーションである義肢・装具などの治療も全国的に有名で、日本全国から患者さんがこられます。こちらは主に4階、5階病棟(障がい者病棟、回復期リハビリテーション病棟)を使用しています。神経麻痺や四肢機能障害に対する各種機能再建手術や、小児整形外科手術も実施しています。
総合リハビリテーションセンターの病院として、手術も含めた専門的治療に加えて、リハビリテーション治療、義肢・装具の改善などの目標を掲げて職員が一体となった研究チームを作り、障害を持たれた患者さんが1日でも早く持てる機能を回復することができるように看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、栄養管理士、医療ソーシャルワーカーなどの多職種で連携をしてチーム医療・チームリハビリテーションに取り組んでいます。整形外科での入院加療中に栄養指導などを通じて、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の改善もはかれるようチーム医療を行っています。その一方で、それぞれの病院の得意分野や特色があり、当院以外の病院で治療されたほうが患者さんにとって良いと判断した場合や患者さんからのご希望がある場合は、すみやかに適切な医療機関をご紹介するように努めています。
(当院受診の方法については、当院地域医療連携室にお尋ねください。)
当院整形外科治療とリハビリテーションの特徴
- スポーツ整形外科
診療内容・治療内容の詳細につきましては、スポーツ医学診療センターのページをご覧ください。
- 関節外科
高齢化に伴い関節疾患を罹患する患者さんは年々増加しています。当院の人工関節手術は兵庫県下の病院では最も多い手術実績を挙げており、全国的にも手術実績の上位に位置づけられております。関節の痛みを和らげ安定した手術成績が得られております。当院は術前から身体機能評価を行い、手術別クリティカルパスを基本に、それぞれの患者さんの状況に応じた術後のリハビリテーションを行っています。通常人工股関節・人工膝関節で術後入院期間は4~5週で自宅退院されます(詳しくは人工関節センターのページをご覧ください)。
- 小児整形外科
診療内容・治療内容の詳細につきましては、小児整形外科のページをご覧ください。
- 切断・義肢装具
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当院では切断(上肢、下肢、あるいは多肢)の患者さんに対し、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、リハビリテーションエンジニア及び医療ソーシャルワーカーといった多職種がチームを組んでリハビリテーション(リハ)医療に取り組んでいます。兵庫県下だけでなく全国から患者さんが専門的なリハを受けるために受診されます。他の病院では対応が困難な方の紹介受診が多いことも特徴のひとつです。
下肢切断の患者さんに対しては、入院のうえ早急に仮義足を作成し歩行訓練を行います。大腿切断の場合、膝関節の代わりとなる膝継手を使用した義足を作成しますが、近年の義肢装具の発展により膝継手の種類も多岐にわたっています。その中から患者さんの状態に最も適した膝継手を選択します。膝継手の一つとして、世界で初めてのマイクロコンピュータ制御義足であるインテリジェント義足(図1)は、当センターで研究開発されたものです。現在はさらに進化したコンピュータ制御義足も使用可能となっており、これらの高機能な義足を使用したリハプログラムの他、患者さんの状態に適した義足リハのプログラムを有し、訓練を提供しています。義足を使用したスポーツ活動(例えばランニング、サッカーなど)の支援も行っています。下腿切断に対しては、術後早期よりシリコーンライナーを用いて断端の成熟を図り、義足訓練期間を短縮させる方法を積極的に行っています。上肢切断の患者さんに対しては、当院独自のシステムとして、入院後早急に能動義手の仮義手を作成し義手訓練を行います。また、前腕切断の患者さんに対しては全国に先駆けて筋電電動義手(図2:筋電義手)訓練ができる体制を構築しており、全国でもトップレベルの経験を有しています。
義肢は切断の患者さんの生活に密接に関係することから、切断の患者さんのニーズに応じた義肢の処方作製、リハビリを心がけています。常に世界の最新の知識と情報を収集し、切断の患者さんに反映できるようなリハビリ医療を目指しています。当院で取り組んでいるロボットリハビリテーションについてはロボットリハビリテーションセンターのウェブサイトをご覧ください。
- 脊髄損傷
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当院では開設以来2000人以上の脊髄損傷患者さんの治療実績があり、日本でも有数の専門病院です。当院の実績はこちらもご覧ください。平均すると年間約30名前後の頚髄損傷患者さん(リフターを設置した病室を主として利用)と約20名前後の胸・腰髄損傷患者さんが入院します。入院後は、医師、セラピスト、看護師、医療ソーシャルワーカーの各専門職とカンファレンスを行い、残存機能など色々な要因を総合的に判断し、適切なゴール設定を行い、それに向けてチームアプローチによるリハビリテーション(リハ)を進めています。リハ経過中には、随時再評価とそれに伴うゴール設定の変更の可能性があります。入院リハ期間は麻痺の状態によりますが、頚髄損傷患者さんで約4から12ヶ月、胸・腰髄損傷患者さんで約3から6ヶ月で、在宅復帰を原則としています。入院中は在宅復帰に向けて、環境整備・介護指導を含め、福祉機器や福祉サービスの導入についてのアドバイスを行います。必要に応じて総合相談室の保健師・セラピスト・医療ソーシャルワーカーが住宅訪問や助言を行います。退院後は、当センター内にある身体障害者更生施設(病院外の施設であり、医療機関ではありません)に入所し、自動車運転訓練(免許証の取得はできません)やスポーツ活動など社会生活力を高める訓練を継続して行うこともあります。
頚髄損傷での上肢麻痺にて日常生活動作不自由が大きい患者さんに対して、残った上肢機能を利用した腱移行手術・神経移行手術によっていくらかの機能向上を図る治療法も実施しております。
以前より、脊髄損傷患者さんの厄介な合併症のひとつとして褥創が知られています。脊髄損傷患者さんの治療実績豊富な当院では専門チームを作り、褥創の治療を行うと共に、褥創に対する理解を深めて頂くための褥創教室を開催し発生の予防に努めています。
2022年度整形外科実績(令和5年4月~令和6年3月末)
手術実績
手術分野 | 手術件数 | ||
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整形外科 | 人工股関節置換 | 125 | |
人工股関節再置換 | 10 | ||
人工骨頭置換BHP | 2 | ||
人工股関節抜去 | 0 | ||
人工膝関節置換 | 129 | ||
人工膝関節再置換 | 4 | ||
人工片側膝関節置換 | 7 | ||
人工膝関節抜去 | 0 | ||
人工関節 計 | 277 | ||
骨接合 | 9 | ||
靭帯・腱 | 18 | ||
抜釘 | 8 | ||
骨移植 | 19 | ||
その他 | 53 | ||
人工関節除く 計 | 107 | ||
スポーツ医学診療センター | 関節鏡下靭帯断裂形成手術 | 161 | |
関節鏡下半月板縫合術 | 228 | ||
関節鏡下半月板切除術 | 74 | ||
関節鏡下関節鼠摘出術 | 19 | ||
関節鏡下自家骨軟骨移植術 | 19 | ||
関節内骨折観血的手術 | 13 | ||
骨折観血的手術 | 40 | ||
骨切り術 | 124 | ||
抜釘 | 209 | ||
肩腱板修復術 | 9 | ||
その他 | 150 | ||
スポーツ医学診療センター 計 | 1,046 | ||
総計 | 1,430 |
4階東病棟(整形外科・泌尿器科混合病棟:50床)
疾患 | 患者数 | FIM評価法による身体機能改善度 | ||
---|---|---|---|---|
入院時 | 退院時 | |||
脊髄損傷 | ||||
頚髄損傷 | 27 | 62.2 | 73.3 | |
胸髄損傷 | 9 | 71.7 | 88.4 | |
腰髄損傷 | 2 | 84.5 | 115.0 | |
切断 | ||||
上肢切断 | 11 | |||
下肢切断 | 29 |
※表にある入院患者数は令和4年4月から令和5年3月までに上記疾患のリハビリテーション目的に整形外科で入院した患者数(褥瘡・泌尿器科治療目的は除外)です。FIM点数はすでに退院された方を対象として計算したものです。
トピックス
トピックス 1上肢・下肢手術に対するエコーガイド下神経ブロック麻酔
手術時の麻酔(鎮痛)に関しても低侵襲の考え方は拡大しています。神経ブロックなどで手術部位の局所的な鎮痛を得て手術を行う方法は以前からありました。最近は超音波(エコーとも呼ばれます)画像の解像度が向上し、末梢神経を描出しやすくなり、超音波画像下に確認しながら神経をブロックする方法が普及してきています。一般的に神経ブロック麻酔のメリットとしては、全身に与える影響が少なく(周術期の食事制限なども少なくなります)、また術後数時間は麻酔効果が持続するため術後鎮痛剤使用(とそれに伴う副作用)も減らせます。対象部位は上肢では肩関節以遠のほぼ全体が適応になり、骨折手術・関節形成術・腱移行による機能再建術などほぼ全ての手術が可能です。下肢では膝関節より遠位の手術が良い適応になります。全身麻酔に比べると全身への影響は少ないですが、神経ブロック麻酔時には麻酔薬中毒に注意が必要です。超音波画像下でのブロックでは、注射薬の神経周囲への拡がりを超音波画像で確認しながら実施しているため(図3)、この麻酔薬中毒の発生を防ぐことが可能です。
トピックス 2骨延長・四肢変形矯正
生まれつきの原因や、外傷後など様々な原因で残った四肢短縮・変形に対して、自身の組織による修復(再生)をはかるものです。手術で創外固定(イリザロフ創外固定など)を装着して緩徐な組織伸張によって自己の組織再生を誘導します。治療の詳細については患者さんへの手引き書をご覧ください。